2012年07月01日

Father's Day

降り注ぐ太陽と雨の恵みを受け植物がぐんぐん伸びるこの季節。
すかすかだったバルコニーも、俄然、混雑の様相を呈してきた。
古い葉、病んだ葉、傷んだ葉を取り除き、薬剤散布する。
光合成を促進する活力剤を散布し、堆肥を与える。
株の成長を見ながら摘蕾し、枝を整理する。
雑草を抜く。
出どまりの芽を摘む。
植物の世話をしていると、根から水を吸い上げ、空に向かってぐっと枝葉を伸ばし、蕾を膨らませていく、その生命活動を感じられるような気になる。

薄曇りの一日だった。
夕方、不思議なほど美しい一瞬が庭に訪れた。
桃色がかった淡い光がバルコニーを包む。

fd-1.jpg

空と植物と私しかいない世界。

fd-2.jpg

空が遠いような、すごく近いような、遠近感のなくなった世界。

fd-3.jpg

花が、葉が、枝が、くっきりと浮き上がる。

fd-4.jpg

アフリカスター
もっと青味の強いバラもあるが、端麗な面差しが素晴らしい。

fd-10.jpg

どの角度から見ても美しい。

fd-5.jpg

黒真珠
タヒチフェチなら一度は育ててみなくてはならないと思っていた。
夏なので赤みが強いが、ベルベットのしっかりした花弁で陽光にも焼けず花持ちもいい。
黒味が増す秋の花が楽しみだ。

fd-6.jpg

マダム・ピエール・ユーレ
古花らしい華やかさと豊かな香り。

fd-7.jpg

エウレカ
お気に入りの公園のイングリッシュガーデンコーナーで一目ぼれした。
まるで太陽が結実したかのような輝き。

fd-8.jpg

コルデスのミニバラで品種名はわからない。
しっかりした枝ぶり、大きめの花。
コルデスのミニバラらしい華やかさを持っている。

fd-9.jpg

ブッドレア”ブラック・ナイト”
名の通り素晴らしく深い紫色の花。

fd-11.jpg

エヴリン
イングリッシュローズはいつも笑っているように思える。

fd-12.jpg

ジュビリー・セレブレーション
甘く輝くような色の妙。
女王陛下を称える名をつけたオースチン氏の気持ちがよくわかる。

fd-12 (2).jpg

アイ・アム・レディQ
昨年は咲かなかった。

fd-14.jpg

今年は鈴なりにかわいい花を咲かせている。

fd-13.jpg

風をはらんでふわり、ふわりと揺れている。
風のメロディーを奏でているようだ。

fd-15.jpg

ヒューケラ”クリーム・ブリュレ”
カラーリーフが好きだ。
花には持ちえない葉独特のクールな美しさ。

fd-16.jpg

スノー・シャワー
石鹸のような香りでバラとしては珍しいと思う。
つややかな小さい葉とクリーピングする枝、房咲きになる純白の花。
すべてのバランスが素晴らしい。
ミニバラの傑作だと思っている。

fd-17.jpg

エトワール・ヴァイオレット
空に何かを問いかけているようだ。

fd-18.jpg

アジサイ”スター・バースト”
八重咲きアナベル。
アナベルのようにまん丸くならず、花火が飛び散るような躍動感にあふれている。

fd-19.jpg

4年前、ダンナが「川の道」ハーフを完走したときゴールまで迎えに行った。
駅前の小洒落たガーデンカフェで買った西洋オダマキ。
今年は本当によく咲いている。

fd-20.jpg

クイーン・オブ・ホランド
爽やかな色とすっきりした花形が涼やかだ。

fd-21.jpg

プロスペリティ
トータルで素晴らしいバラ。
枝ぶりも葉も、クラシカルで香り豊かな花も、育てる者に喜びと満足を与えてくれる。

fd-22.jpg

エミリア・プラター
いつもたくさん咲いて初夏の庭を彩ってくれる。
今年は、ことのほか見事。

fd-23.jpg

スイート・シャリオット
ミニバラのしなやかさと可憐さを湛えている。
日影がよく似合う。

fd-24.jpg

エヴリンの蕾
小首をかしげてもの問いたげな表情。
うっすら開いたひとひらの花弁が開きかけた唇を思わせる。


陽も落ち部屋に入って灯りをつける。
アルが急に外廊下に向かって激しく吠え始めた。
お隣さんでも通ったのだろうと思ったがあまりにも執拗にほえるのでドアを開けて外を見せてやった。
誰もいない廊下を見て不審そうなアル。
ドアを閉めるとまたすぐ吠えだす。
もう一度、ドアの外を見せてやる。
誰もいない。
それでもドアを閉めるとまた吠えるので、面倒くさいから放っておいた。
直に疲れて眠ってしまった。
そこに飄々が帰ってきた。
「今日は父の日だったんですね」
ああ、そうだった。
ずっと世間の父の日フィーバーを辛い思いでしのいできたが、今日はそのことを全く思い出さなかった。
その時、「ああ、帰ってきたんだな」と思った。
自分が死んだことも気が付かないで野山でも走り回っていたのが、父の日くらい帰らないとまた私に怒られるとでも思ったのか。
いつもいつも走りに行ってしまって家にいない。
私との約束も忘れてレースに行ってしまう。
そんなやつとは二度と約束しない、どこにも一緒に行かない、私のダンスの発表会にも来るなと怒鳴りつけたことがある。
川の道の見送りにも行かないでおこうかと思っていた。
結局は見送りに行き、そこで私が撮った写真が遺影になった。
もし、私が行かなかったら・・・
何かが変わっていただろうか。

私は死後の存在を信じていない。
死んだらそれっきりだと思っている。
けれど、帰ってきたのだと思うと不思議と心が満たされた。
心の中にあの桃色がかった淡い世界が広がる。
自分が行こうとしているところがわかったような気がした。
気のせいでも、思い込みでも、なんでもかまわない。
今は、自分に少しだけ嘘をついてもいいだろう。
死んだあとのことなど、どうせ誰にもわからないのだから。

その夜は、いつもより身ぎれいにして髪にモノイをたっぷり塗って寝た。




posted by とんべり at 19:00| 千葉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ガーデニング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。