2011年07月19日

公判当日 A

傍聴席は味方サポーターで一杯である。
そこに、例の土下座パフォーマンス親父と、母親が入ってきた。
母親がずっとしくしく泣いていて、煩わしい。
通夜前の大混乱のさなか、保険屋を連れてうちに上がりこんできた時もしくしく泣き声をあげていたが、香典を拒否した時に私をにらみつけたときの目は涙も出てないし、あまりといえばあまりな嘘泣きに、なんだかもううんざりしてしまった。
今日も相変わらず同じパターンかと、頭が痛くなる。

被告と弁護士が入ってきた。
ひたすら、被告をガン見する。
素人の私が法廷に入ったからといって、何か出来るわけではない。
だが、被告の真正面に座れば、その表情も手に取るようにわかる。
私の存在も、強く相手にアピールできる。
見ろ!こっちを見てみろ!と心の中で叫ぶ。
で、相手弁護士がどんなヤツかと目をやったら、唖然。
ハゲ、しかもロン毛・・・
それでデブ・・・
ビジュアル的にイケてないこと、はなはだしい。
なんかもう、見るからに「悪徳」っぽい。
キャバクラで女の子をひざに乗っけて、ゲハゲハとエロ笑いそうな雰囲気満載。
やることがえぐいし、「ぽい」んじゃなくて、悪徳弁護士なんだろうなと思う。
土下座親父に、嘘泣き母、悪徳デブ弁護士・・・
安っぽいドラマみたいだ。

裁判長が入ってきた。
「起立、礼、着席!」
こんなことをするのは高校以来である。
裁判長は、予想に反して、若い、きれいな女性であった。
聡明そうだが、人間コンピューターじゃなくて、血の通った心を持っていてくれればよいが・・・と願う。

裁判が始まり、検事が証拠番号をどんどん挙げていく。
そのうちの数点は、今日、私が持ってきた。
死んだ時、背負っていたザックに、これも身につけていた汗の浸みたランニングシャツを突っ込み、遺品の時計は私が腕にはめている。
ついでに形見の●●●●●なんちゃらもハイドロパックの底に突っ込んでおいた。
私にとっては弔い合戦である。死装束で何が悪い。
署名という血判状を鎧に結びつけ、ダンナの遺骨を抱いて、強大な国家権力の只中に単身切り込むつもりで臨んでいる。
国家なんかに勝つつもりは端からない。勝てるはずがない。
何をやっても結果は変わらない。
日本と言う国は変わらない。
ダンナは戻ってこない。
でも、私は弱気になろうとする自分に打ち勝ちたい。
何も変わらないからと諦めたくない。
一歩でもいいから前に進みたい!

その4000筆集めた署名だが、残念ながら被告弁護人に拒否されてしまったので証拠にはならなかった。
だが、私は自分の意見陳述の中で、署名の存在には触れるつもりだ。
ただし、陳述の途中でさえぎられる可能性がある。
証拠採用されなかったものについて、語っちゃいかんと言うことらしい。
さえぎられる前に、言うだけ言ってやる。
緊張で何も聞こえなかった振りをして、最後まで言ってしまおう。
こういうのは、言ったもん勝ちだ。

裁判の3日前。
署名の証拠採用が拒否された連絡を受けた。
覚悟はしていたが、「やっぱり・・・」という徒労感と極力してくださった方たちへの申し訳なさで弱気の虫に取り付かれた。
息子に「欝で半分頭のおかしくなったオバサンが、ダンナが戻ってくるわけでもないのに、なに痛いことしてるんだろうって思われてるよね・・・」と愚痴っていたら、「ここで母の心が折れたら、署名してくださった4000名の方に申し訳ないと思いませんか?」と言われた。
「母のことを痛いと思う人は、署名なんかしてくれません。少なくとも4000名の味方が後ろに控えているのですよ。私も痛いなんて思わない。それでは不足ですか?」
子どもだと思っていたら、けっこう言ってくれるのである。
「証拠採用されなかったら、あの署名は母にとって無価値だとでも?」と諭されてしまった。
あの署名・・・
検事の机の上にドンと置かれた時、検事が感銘を受けた様子で眺めていた。
4000筆集まったと話した時、弁護士さんが感動したといっていた。
あの署名の存在は、まぎれもない事実なのである。
証拠採用なんかクソくらえだ。
裁判の場で絶対言う。
少なくとも4000の人々が、この事故のことを憤っているのだということを言わずにはおかない。
               (続く)


posted by とんべり at 13:20| 千葉 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | タヒチ走遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
とんべりさん♬
今日は涼やかな気持ちがよい日です。
体調はいかがですか?

今まで、争うことなど無縁だったとんべりさんがその苦渋にエネルギーを使っておられること、
本当に悲しくて言葉もありません。

徒労になど、終わっていません。
署名は、愛の数です。

無力ながら、いつも見守っています。
Posted by こゆき at 2011年07月22日 12:34
>こゆきさん

まったり見えて、戦闘モードにすぐ入る体質です。
それを見誤って、私からクリティカルヒットされる犠牲者が後を絶ちません(笑)
なので、事なかれ主義の自分の両親とは、しょっちゅうバトっています。

今日は署名を引き取ってきます。
昨日、踊りで使ったティーリーフとティアレ、貝の首飾りと一緒に、ダンナに手向けようと思っています。
Posted by とんべり at 2011年07月25日 11:27
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