2011年07月17日

公判当日 @

公判当日。

ダンナの両親は、前日、長野から出てきて、熊谷のホテルに宿泊している。
親族一同、そのホテルに集合することになっているので、私も息子を連れてホテルに向かった。
が、そこで息子を放置して、ひとりスタバに逃げ込む。
こんなに神経がぴりぴりしているのに、親族からあれこれ言われるのが堪らない。
事実、数分居ただけで
「がんばって」
「冷静にね」
「落ち着いて」
「しっかりね」
と口々に言われ、萎えてしまった。
言いたい気持ちは分からなくないが、言われる身になってほしい。
誰より冷静になりたいのは私自身であるが、「なれ」と言われてなれるんだったら誰も苦労しない。

スタバでキッシュとコーヒーを無理やり口に詰め込む。
しゃりバテで脳の活動を停滞させるわけには行かない。
その後は、腕に爪を立てて、時間が来るのをじっと待った。
最悪の気分である。
心臓バクバク、息ゼーゼー
口から、胃袋を通り越して腸が出てきそうだ。
余分に持ってきた向精神薬を洗いざらい飲んでしまいたい衝動と必死に戦う。
そんなことしたら、裁判前に病院行きである。
やっと1時15分前になり、タクシーを捕まえて検察庁に向かった。
裁判は2時からなのだが、検事と弁護士と参加人の私は事前打ち合わせをする必要があるらしい(まあ、私はおまけみたいなものなのだが)

打ち合わせの最中、検事がめくっていた調書の中にダンナの全裸遺体写真があるのがちらりと見えた。
私も調書のコピーはもらっているのだが、写真は白黒だし、第一、ダンナの遺体写真が抜いてあった。遺族の心情を考慮してのことらしい。
だが、私は、跳ねられた時、ガードレールの反射板に叩きつけられて肋骨を何本も折ったというひどい傷を見たい。
葬式の時は、いつも傍らに誰かがいたので、見る機会を得られなかったのだ。
仕事とはいえ赤の他人が夫の全裸写真を見てるのに、妻の私が見ちゃいかんと言うことはないだろうと思ったが、司法のシステムは一般人には意味不明だ。拒否されるかもしれない。
実力行使することも考えた。
弁護士さんは痩せている。
検事は運動とは無縁そうだ。
どちらも大柄ではない。
隙をついて飛びかかったら調書を奪うことくらいできそうな感じだ。
だが、裁判前に騒ぎを起こして「暴力的素行が認められる」と入室できなくなったら困る。
むき出した爪をひっこめ、何気ない顔をつくろって座り続けた。
ダンナの父は打ち合わせに一緒に来る気だったようだが、必要ないから裁判の時間までホテルにいてくれとお願いした。
余計なものを見せなくて済んでよかった。

打ち合わせが終わって、またしても待機タイム。
弁護士さんに、友人の一人が予習のために他の裁判の傍聴に行ったはなしをする。
「裁判官によって、だいぶ評決に差があるようなことを言っていましたが・・・」と聞くと、「My Cortといって、裁判官にとって裁判は自分が絶対の場ですからね〜」と言う答え。
「裁判員制度が導入されて、変わりましたか?」と聞いたら「裁判員の入る法廷変わりました。」
う〜〜ん。
聞けば聞くほど、日本と言う国は希望のない国である。
息子が『逆転裁判』というゲームにはまっているのだが、私は日本の司法自体に大声で「異議あり!!!」と叫びたい。
まあ、だからこうしてこの場にいるわけなのだが・・・

「いったい、どんなパーソナリティーの人が裁判官になるんですか?」と以前から疑問に思っていたことを聞いてみた。
「司法試験に受かると養成所のようなところでいろいろな研修を受けて、その中で適性を見つけていくんですが、トップクラスで頭のいい人が裁判官にはなりますねー怖いくらい頭が切れますよ」
頭のいい弁護士にすら怖いと言われるような切れる脳みその持ち主。
人間にとって脳みその出来不出来は大事だが、時として非常にムダに脳みそだけ切れる人がいる。
はたして、裁判官たちの「心」はどうなんだろうと思った。

時間が来た。
ジャケットを羽織り、法廷へと向かう。
途中、トイレによって出てきたら、検事さんが「待った!」と慌てているので、視線の先を見やると、被告人サイドの面々に弁護士さんが2日前に送られてきた、人をバカにした謝罪文と200万の誓約書を返しているところであった。
あんな汚いことをするなんて、被告の弁護士もくずにちがいない。
被告の親父に見つかって、また反吐が出るような土下座パフォーマンスでもされたらかなわない。
ダッシュでエレベーターに逃げ込んだ。

法廷のある4階に着いてびっくり!
たくさんの見知った人たちがいた。
この短かったような、長かったような2ヶ月の間、ともに戦い励ましてくれた数々の友人だ。
弁護士さんが「傍聴券が必要かな」と心配していたが、どうにかみんな座ることが出来た。
「こんな大きな法廷が傍聴人で一杯になるなんて、よほどの大事件じゃないとないですよ。平日の、しかも熊谷なのになあ。すごいなあ。」としきりに感心している。
私と言えば、さっきまで、口から腸やらエクトプラズムやら、なんでもかんでも出てきそうな状態だったが、多くのサポーターに背中を押され、気持ちがすっと落ち着いた。

ゲートを越えて法廷内に入り椅子に座る。
傍聴席を見やると、目のあった人たちがうなづく。
よし、やろう。やってやる。
                 (続く)


posted by とんべり at 13:34| 千葉 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | タヒチ走遊会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あなたの心模様が痛いほど伝わってきます。周りの人々の緊張、心配等々目に浮かぶようです。まず自分の体をを大切にしてください。飲まない食わない女はいい仕事はできない 私が進入社員になって一番始めに先輩から教わった言葉です。
Posted by 佐藤由美 at 2011年07月18日 10:34
>由美ちゃん

しぶとく元気にしてます。

食は細くなったし、アルコールはドクターストップがかかってますが、体脂肪がだいぶ落ちて、おかげさまで露出の多いタヒチアンダンスの衣装を大手を振って着られる体型になりました(笑)
息子にも「それらしくなってきた」と言われています。

先週は、発表会の直前練習で毎日3〜5時間、滝のような汗(と冷や汗)を流しました。
ダンスの発表会で忙しいおかげで、結審のことを思い煩うことが少なくてラッキーでした。
Posted by とんべり at 2011年07月25日 11:03
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