2011年05月15日

花と命

部屋の中はユリの香りでいっぱいだ。
式場から持って帰ってきた大きな菊の生花にユリも数本挿してあって、これが非常に良い香りだったのだが、この暑さでどんどん開き、どんどんその命を燃やし尽くしていく。
ユリが終わりかけ、少し淋しくなってきた時に、ダンナのお友達からジャーマンアイリスとユリの大きな花束が届いた。
アイリスの淡いブルーと濃いブルーのグラデーションに、白、ピンク、黒のユリのアクセントがすばらしい。
そして、その香り・・・

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それまで私はユリの香りはそれほど好きではないと思っていた。
だが、ダンナの葬儀の生花の祭壇―タヒチの海をイメージした白とブルーの花々―にユリがたくさん使ってあったからであろうか。
なにやら哀しいような、淋しいような、だが、何かしら心を癒す香りとして私の中に定着したようである。
帰宅してまず出迎えてくれるのがユリの香りであるが、まるでダンナが迎えてくれたような気分になる。
ユリの香りにそっと「ただいま」と応える。

親しい人を失って初めて分かったのだが、花の贈り物がとても嬉しい。
なぜなのだろう?
たぶん、切花で命が限られている中、それでも懸命に水を吸って美しく花開き、やがて朽ちていく姿に人の一生を重ねるからなのだろう。
それに、故人にはもう何もして上げられないが、せめて花は少しでも長く生きてほしいと毎日いつくしんで水をやっている。
「水をあげる」
その単純な行為が、己の無力感を、無念さを、少し癒してくれる。

IMGP4907.jpg

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お花に、くださった方のお人柄が偲ばれるのも嬉しい。
タヒチ関係のお友達は、ブルーと白のタヒチらしいアレンジメントを送ってくださった。
ダンナのお友達で遠くで花屋さんをやっている方からは、白の胡蝶蘭をメインにした白いアレンジメント。
母の友人からはかわいい白とピンクのガーベラのブーケ。
いとこからは芍薬と蘭のアレンジメント。

そして私からは庭のバラ一輪。

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美しい花もいつかは終わりを迎える。
人もいつかは終わりを迎える。
それまで、一生懸命水を吸って命を燃やしていこう。
与えられた時間の中で。

IMGP4915.jpg
ラン仲間で画家の方から頂いた花の絵
朽ちない花
一瞬を永遠に閉じ込めたいという人の願いが絵画や写真を生み出したのだろう

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パラ企さんから頂いたプリザーブド・フラワー
これもまた、過ぎ行くものをとどめたいと願う人の業



お花に限りません。
多くの方に支えられ、励まされています。
本当にありがとうございます・・・
posted by とんべり at 15:58| 千葉 | Comment(10) | TrackBack(0) | 日々の光景 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
以前にコメントしたことのある者です。
突然のことになんと書き込みすればいいのか言葉がみつからないのですが、それでも何もしないでもいられず…
心からお悔やみ申し上げます。
公的な事務処理に傷つくこともあるかもしれませんが、相手は機械か何かだと思って。。
あまり心揺らすことがありませんように、お祈りしています。
Posted by honumama at 2011年05月16日 17:47
どのお花もきれいですね。
お庭のバラ、優しい色がとっても素敵です。
とんべりさんのじゃるだんは、今年も沢山の花を咲かせるのでしょうね。
Posted by kay at 2011年05月16日 21:19
>honumamaさん

お久しぶりです
コメント、ありがとうございます

家族が亡くなるとほんとに・・・
住民票ひとつとっても大きく斜線が引いてあって「死亡」って書いてあるし、「死体検案書」なんて言葉を見るだけで「なにそれ」っていう気分になるし、ひっきりなしにかかってくるお墓や仏壇のセールス電話、お返し品の超ぶ厚いカタログ(ハイエナどもめ!)、ダンナ宛に届くランニング関係の郵便・・・
ダンナの会社に行った時も辛かったです。
相手の方の応対が悪いわけじゃないんです。
ただもう、世界中に「ダンナが死んだ」といわれてるような気分になってしまって、超鬱です。
仕方ないんですよね。。。

がんばります!
Posted by とんべり at 2011年05月19日 13:30
>kayさん

放置のわりには良く咲いてくれてます(笑
よく「バラは難しい」といわれますが、うちではものすごく丈夫ですよ。
根がマルハゲになっても、枝をゲンコツ切りされても、春になれば葉を茂らせて花を咲かせています。
何がいけなかったのか、突然死する植物もたくさんあるのですが、バラに限ってはしぶとく生き抜いています。
いつも思っていましたが、バラのように生きたいと願っています。
Posted by とんべり at 2011年05月19日 13:39
初めまして。
私もタヒチアンダンスが大好きで、とんべりさんのブログを見つけてからファンになり影ながら拝見させて頂いていました。

突然の事に本当に驚き、なんと言葉を書いたらよいか分かりません。
これからもとんべりさんと息子さんを影ながら応援しています。
Posted by satomi at 2011年05月21日 21:22
今回のようなあまりにも急なことを受け止めるのには時間がかかることだと思いますし、また時間をかけていいことなのだと思います。
お花の背景に少し写っている旦那様を見ても幸せだったことが伝わってきます!
正直、家族で無いブログ読者の私(たち)だって受け止められない現実です。。とんべりさんの咲かせた花たちが癒してくれるよう願っています。
支離滅裂でごめんなさい。
Posted by honumama at 2011年05月22日 20:21
はじめまして。
私は昨年の川の道で、こまどり荘から三国峠までの中津川林道を、旦那様にご一緒していただいた者です。
あの時は、お互い故障していたのですが、旦那様の方が足が残っていたのだと思います。
しかし、私の遅いペースに合わせて歩いて頂いて、本当にに助けてられました。
とても明るい方で、話が弾んで、4時間の上りがまったく苦にならなかったのを覚えています。
9月の雁坂越えの前日にも、甲府駅の近くで‘歩き方でわかった’と声をかけていただいて、中津川林道の暗闇の中で4時間だけの同行だったのに、凄い観察力だな〜、と感心したのでした。
そして今年の4月30日、葛西のスタート地点で、‘今年はお互い故障しないように行きましょうね!!’と、固く握手を交わしたのが、まさか・・・。おそらく、今年は故障しないようにと、慎重に足を運んでいたに違いありません。
熊谷のCPで、関西弁のBさんと、旦那様の話などをしていました。
まさか、本当にまさか、そんなバカな!という言葉しか出てきません。
おそくなってしまいましたが、旦那様のご冥福を心からお祈りいたしますとともに、残されたご家族の皆様にお悔やみを申し上げます。
Posted by 小森浩志 at 2011年05月29日 15:30
>小森さん

コメントありがとうございます。
もしかして、集合写真のとき握手なさっていた方でしょうか?あのときの二人の笑顔が、目に焼きついて離れません・・・

皆さん、これからのレースに思いを馳せ、決意と喜びに顔が輝いていました。
東北へのメッセージを背負っていた方もいましたね。
いい大会になると思っていたのに、まさかこんなことになってしまうなんて!
無念です、無念でしょうがありません。
ランナーがどんなに身を守ろうとしても、金属の塊の車が突っ込んできたら守りようがありません。
道はみんなのものなのに、歩行者が守られていない。車ばかりが優先される今の日本に疑問を感じます。
Posted by とんべり at 2011年06月05日 22:15
>satomiさん

コメントありがとうございます!
いろいろな方から、「読んでました」「応援してます」と励ましのコメントを頂き、本当に嬉しい限りです。

タヒチアンですが、正直、今は踊っても喜びがないのです。
先生には、ちっとも心がこもっていないし雑だと叱られます。
本当にその通りなのです。
一番見てほしかった人が逝ってしまい、張り合いがなくなってしまいました。
ですが母に、「もともと踊りは死者の魂を慰めるため、神に捧げるためのものではないの?」と言われ、気持ちを入れ替えて踊ろうと思っています。
またいつか、楽しく踊りについて語れる日も来ると願っています。
Posted by とんべり at 2011年06月05日 23:26
>honumamaさん

植物は良いです♪
水遣りしたり、花柄を摘んだりしていると、何とはなしに慰められます。
田舎に住む夫の父母も、庭仕事に慰めを見出しているようです。
世話をしながら夫に話しかけます。
「放置したけどけっこう咲いてるね」
「タヒチの海みたいなブルーだよ」
「いい香りだね」
「大好きなメアリー・マグダレンが咲いてるよ」
「落ち着いたらバラのアーチの下でビール飲もうか」
届けばいいと思います・・・
何の返事もないので、届いてるかも分からないですよね。
Posted by とんべり at 2011年06月05日 23:33
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