2009年11月29日

レディー・エマ・ハミルトン

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2005年 イギリス Austin 作
オレンジ系のイングリッシュローズ。
パット・オースティンとどちらにしようか迷ったのだが、ドラマティックに赤味が差す華やかな花、1m前後のコンパクトな樹形、名前の響きでエマが勝利。
トラファルガー海戦でスペイン・フランス連合軍を破ったイギリス海軍の勇将ネルソン提督の愛人レディー・エマ・ハミルトンから名を頂いている。
作出者が奥様の名をつけたバラ=パット・オースティンも気になったのだが、「愛人」という響きは「奥様」より華がある(笑

エマはハミルトン郷の夫人でありながら、イギリス社交界ほぼ公認の関係をネルソン提督と持っていた人物である。
だが彼女、単に「奔放な人妻」と片付けるわけにはいかない女性であったようだ。
生まれと育ちは社会的に低く、17歳で社交界デビューした時は公娼、モデル、ダンサーとして名をはせた。
若い貴族の愛人だったが、結婚して身を固めたくなったその男が、エマとの関係をすっきり清算したいがために、自分の叔父にエマを紹介。
この叔父さんがハミルトン郷である。
ハミルトン郷はエマのことをえらく気に入り、なんと結婚してしまったのである。
その後、客としてハミルトン家に現れたネルソン提督であるが、戦争のせいで片目はない、片腕はない、歯はぜんぶ欠けてしまい、ゲホゲホ咳をしているという怪異な姿であった。
初めて会ったとき、エマはあまりの醜さに失神してしまったというのだから失礼な話である。
が、このふたりは運命の恋に落ちたのであった。
どちらも連れ合いのいる身でありながら、離婚せぬまま家を構えて同棲、子どもまでなしている。
さらに面白いのは夫のハミルトン郷。
この家に足しげく通っていたようである。
祖国の英雄ネルソンにエマは必要だから・・・という理由でふたりの関係を許していたというが、人物が大きいというか、わけわからんというか・・・(汗
ヨーロッパの社交界などには、複数の貴族や芸術家と関係を結び、愛されたミューズがいる。
エマもそんな存在だったのかもしれない。
が、彼女はこの恋に自分のすべてを捧げてしまった。
ネルソンの死後、憂さ晴らしの賭け事に溺れ、借金にまみれ、貧困のうちに亡くなっている。
英雄と讃えられたネルソンが彼女のことを面倒見てくれと頼んでいたのに、その死後、英国はエマのことを顧みることはなかったという・・・

実にドラマティック!!
バラにつけるのに、こんなぴったりの名前があるだろうか?
言葉攻めに弱いとんべり、名前の由来だけですっかりノックダウンである(爆

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モデルだっただけに、エマの姿はたくさん残っている
豊満な、ちょっとあどけないかわいらしい顔に、いたずらっぽい微笑を漂わせている。
愛人というとつい赤バラを思い起こしがちだが、たしかにエマはこのバラのように明るく華やかな美女だったことだろう。
暑い時期はバカみたいなオレンジ色に咲いて「あんた何者?」といいたくなるのだが、寒くなってくると艶やかなルージュが差し、裏弁のカッパーと表弁のオレンジが複雑に絡み合い、色彩のハーモニーを奏でる。
ブロンズ色の枝、深い緑の葉とあいまって、たとえようもなく美しい。

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枝はコンパクトによく茂り、非常に形良いブッシュに育つ。
今年は春の風で5本ほど枝が折れてしまったのだが、それでちょうど良いくらいみっちりびっちり茂っていた。
色合いによくあった柑橘系の強い香りがあり、律儀に花をつける、どの点でも文句のつけようがないバラである。

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↑左から、タヒチ(アプリコット)、ヌル・マハル(パープルピンク)、エマ(オレンジ)
前景のラヴェンダーやヴェロニカ、咲いてはいないがブッドレアの紫、青系との相性が抜群である。
シルバーリーフとも互いに引き立てあって、シックな景観を作る。

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↑2008年の花

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↑2007年の花

さて、1ヶ月近くにわたってご紹介してきたとんべり・ローズコレクションは、これでひとまずおしまい。
ベランダでバラを育てる無謀人たちへの鼓舞と参考になれば幸いです(笑
長いことお付き合い、ありがとうございました。
余力があれば、いずれクレマやカラーリーフ、ブルーフラワーなどもアップしたいなぁ・・・


posted by とんべり at 00:00| 千葉 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | バラ&クレマチス 2009 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
美しい〜!
同じカッパーでも、パットとはまた違った美しさ。
とんべりさん、私が欲しくて買えないバラを沢山お持ちで
本当に目の保養&勉強になりますわ〜♪
ディズニーやめて、エマにしよう。
(やはり、名前が引っかかるんですよねぇ…)
Posted by kay at 2009年11月30日 23:03
えーおしまいー?!
じゃあもっかい最初から見てこよう(^-^)
解説付きなのでとっても楽しいです。
「これが一番好きだわ」と思いながらていて、次のページに進むと「あ、こっちのが好きかも?」
私の好きなバラはどれだ(笑)?!
マグダラのマリアは何度見ても好きだわ〜
「とんべりローズ図鑑」作ってください(^-^)ノ
Posted by anapanapa at 2009年12月02日 10:14
>kayさん
とんべり、DLが嫌いなわけじゃないのですが、あの作りこんだ世界に入っていくのに、努力が要るようです。
なにせタヒチが好きなのは、「最後の楽園へようこそ!」みたいなテーマパークっぽい感じがぜんぜんなくて、こんなに美しいところなのに住んでる人が退屈そうだったり、ウザそうにしてるところなわけで・・・
あっちの人にしてみれば毎日の生活なんだから、そう感動もしてられないでしょうが、こっちのイメージとの落差が面白いんですよね♪
作り物だからこそ、ほころびの無いように完璧に演じているDLと、「楽園」のイメージを売り物にしながら、どこか鼻で笑ってるタヒチ。

kayさんもDLは苦手なのですか?
でも、バラ自体はエマとはまた違ったひらひらと愛らしい雰囲気が魅力ですよね。
ぜひ、言葉に迷わされることなく、納得のバラを迎えてください(って、オマエが言うことなのか??)
Posted by とんべり at 2009年12月03日 10:59
>anapanapaさん
ありがとうございます♪
とんべりの個人的インプレッションはかなりメタメタだったりしますので、一部のバラ愛好家の中にはお腹立ちの方もいらっしゃるかもしれないです。
anapanapaさんにそういっていただけると、救われる思いです。
これはやはりマクロを入手して、写真の腕を上げませんと!(鼻息

マリアはよいバラです。
機会があったら、ぜひ本物を見てみてくださいまし。
清廉を絵に描いたような、まことに美しい花です。
さらにあの香り!
一度嗅いだら忘れられないユニークさです。
Posted by とんべり at 2009年12月03日 11:21
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